思えば、去年の夏休みは1才3ヶ月の赤ん坊を車に乗せて、泊まる場所も決まってなかったのにポーランド、バルト三国への一ヶ月の放浪の旅をしてしまった私達。楽しかったけど、正直言って疲れた。その赤ん坊はこの夏はもっと強烈な2才児となった。はぁ〜、この夏休みはゆっくりとしたい。

今回は、友達のクロード達と一緒に、再来週からゆっくりと2週間ほどドイツの2番目に大きいプラウ湖で休暇をすることにした。クロードが勝手に場所も宿も決めてくれて、もう人任せだけど楽。

今日はパパとあまちゃんは、ドイツのおばあちゃんの家に遊びにいった。一泊して帰ってくるという。 となると私はもっと楽で、やりたいことは山積みでやる気まんまんだったのに、実際に一人になったら、ベットの上でよしもとばななの本を読んだり、めったにやらない縫い物したりしてボッーとしている。自分でもあきれるほどふぬけな状態。

昨日のこと。シュテファンが来て引っ越すからいらないとビールを20本とワインを何本かと魚と野菜とシュテファンママの作った瓶に入った野菜のマリネなどを我が家に置いていった。わ〜い。

ということで、一人でいるとご飯を作るが面倒くさいので、さっきからそのビールと瓶に入った自家製赤カブの酢漬けを出して、ポリポリ・・・。

そのまっかな赤カブが信じられないほど美味しかった。これはきっとドイツのおふくろの味だぁなんて再び、蓋開けて、取り出してボリボリ。うまっ。赤カブ、とまらない。

その後、トイレに入って、非常にびっくりしたこと。「血尿だぁ!」慌てふためいて便器を見つめて、30秒。そっかー、ただの赤カブのおしっこでした。(汚い話でごめんなさい。ちょっとびっくりしちゃって・・・)

実はまだこのことは書いていなかったが、シュタイナー学校の担任のパパには大きな問題があった。それは本当に最初は大したことのない問題に見えた。ある保護者から言われたことをきっかけにパパはそれがどんどんこじれて発展し、いつの間にか深刻な問題となっていった。何人かの保護者とのすれ違い。問題が複雑になるにつれ、本来、誰が原因なのか、そもそも何が問題なのか、どうすればクラスが調和を保ているのかなのかまったくわからなくなった。

「コミュニケーション」をテーマに何回か保護者会がおこなわれた。しかし、理論でコミュニケーションとは何かを語るのみで何かが変わったということはなかった。さらに、学校側が用意したカウンセラーも学校に来てクラスを見学した。しかし、彼はなんの役にも立つどころか、問題をこじらせて帰っていった。最後に言った、捨てセリフはパパに「担任をやめて学校を変えるしかない。」

私達は新しいベルリンの学校を見に行って、引越しの覚悟をした。しかし、学校の同僚達は今、パパに学校をやめてもらうのは困ると言った。

そのまま夏休みに入った今日、パパはある生徒のお母さんが薦める別のカウンセラーのもとに行った。学校がカウンセラーの料金は支払うという。

突然、話し合いが終わったころ、パパの携帯から私に電話が来た。「やっと問題が明らかになった。やっと僕を理解してくれる人に出会った。全て問題の中心はSという保護者がキーワードらしい。」パパは電話口で嬉しさで泣いているようだった。私が驚いたのはそのカウンセラーが1時間ほど話しただけで、こうも問題の糸口を見つけ、生徒がその母親からなんらかの虐待を受けていることも見抜いたことである。やはりプロはすごい。

それに比べ、私は何の問題の解決法も見つけられず、「あなたが少し変われば、他の人も変わるのよ」とか「もっと保護者の事を考えて」なんてアドバイスしていた私はまったく、何の助けにもならなかった。

パパは今日、生まれかわったように心が楽になったようだ。こんな能力のあるカウンセラーに、軽い嫉妬、そして驚嘆。

さっき、友達も一緒に、よきカウンセラーに会えたことと、問題が明確に見えてきたことで、発泡酒でみんなで「乾杯!」しながら、語りあった。私にはアドバイスなんてできない。こうやって夫の苦しさを聞いて、嬉しいときは一緒に喜ぶぐらい。

それにしても、教師、特にシュタイナー学校の先生は大変な仕事だ。心からそう思う。

パパが夏休みということで、やっとあまちゃんを面倒見る時間ができたと言う。二人がプールや買い物に行っている間、たまには私は一人で行動することにした。

とりあえず思いつきで映画館へ行くことにした。ドルトムントのサッカーで盛り上がる南口を背にして北口に進んでいくと、トルコ人ばっかりの商店街が見える。その商店街の一番奥にひっそりと「ROXY」という映画館がある。そこで、「Peindre ou faire l'amour」というフランス映画を観ることにした。日本語に訳すと「絵を描くことか愛すること」だろうか。中に入ると私のほかには40代か50代のおばさんとおじさんのカップルが10組ほど。完璧に私は浮いている。しかも、トルコ料理屋で買ったフライドポテトを持って入ろうとしたら「匂いが充満するので、外で食べてください」と注意を受けて一人カウンターでぼそぼそとフライドポテトを食べた。

それにしても、ここの小さい映画館は私好みだ。レトロなランプが暗闇の中を光っていて赤いカーテンがまた古い映画館に似合う。中には20人ほどしかお客が来ていなく、私の列には私のほかには誰もいなかった。

このフランス映画、私には衝撃的だった。簡単にあらすじを書くと「ある中年の夫婦がフランスの田舎で別荘を買って、美しい生活を送る。そんな時にその近所に住んでいた若い夫婦と知り合って友達とになる」そこまでは普通のストーリーだがここからがショッキング。「じょじょに4人は仲良くなり、ある晩、お互いのパートナーを交換して同じ屋根の下のベットでセックスする関係になる。」そんなストーリ。それでも、フランス映画らしく、ジメジメしていなく、4人で肩を抱き合うところは感動的だ。なんだか、不倫でも浮気でもなく、なんだかみんなハッピーだ。それにしてもフランス人は本当に自由な精神をしている。きっと、この映画は理屈でなく感覚でみるしかない。そして、主役のマダムがとってもかわいい女性であることや、フランスの自然が美しいし、インテリア、音楽が良かったことが気に入った。なんだか、おばさん達にまぎれて観てよかった。

当然、帰り道は映画に影響されて、ボーッと色々と考えてしまったけど、家に帰ってパパにこの内容を報告したら「実際にパートナー交換して寝るなんて、問題が出ることがほとんどだよ、映画は作り話だからね。」なんて言われた。私の新しい妄想も残念ながらそこで終わりとなったのでした。



このあいだ、理恵子嬢に誕生日のプレゼントに再び酒井駒子さんのカードをもらった。そして、瓶に入った手作りのフルーツシロップも・・・。かわいいのでずっと食卓に飾ってある。やっぱりもったいなくて瓶、開けれないなー。

朝、起きたらなんだか外がガヤガヤしていた。朝ごはん食べて外に出てみたら、我が家の下のべ−ベル通りの商店街でどうやら「サッカー祭り」があるらしい。ここに5年ほど住んでいて祭りがあったのは今日がはじめて。湧きあいあいとたくさんの人達がこの普通は活気がない小さな商店街に集まっているのを見てちょっぴり感動した。というか、よく見るとサッカーのユニホームを来たご近所の人たちが単に大集合していただけだったが、なにやら 舞台はあるし、サッカー選手も来るらしい。子どものために遊園地のアトラクションもあって本格的な催しに見えた。

小銭を持って朝からちょっと見に行ってきた。ビールは一杯1ユーロ(140円ほど)。安いなー。さすがドイツ!お昼から飲んでる人がけっこういる。当然、サッカーのゲームもできるし、クレープやパスタなどの屋台もあった。
私達の本日のヒットはルーレットゲーム。しかも無料。私とあまちゃんとパパで合計3回やったら、みんな当たり。近くの大型インテリアのお店の商品券を2枚ゲットし、美容院の券を1枚、手に入れた。狙っていたものが当たったので嬉しくて券を高くかかげて「やったー」と言ったら、まわりの人に笑われた。ちなみに1位はサッカー試合のチケット。

その後、商店街のアイス屋さんでアイスを注文。2カップ食べただけで満足するアイスのに、「普通サイズ 4カップ」とメニューに書いてあったので、「アップル、ラズベリー、ヨーグルト、チョコ」の4カップを頼んだ。これがひとりで食べきれない量。これが普通サイズか・・・。パパは「イチゴヨーグルトパフェ」を頼む。これもかなりビックなサイズ。ドイツ人はどんな大きいパフェもたやすく食べれるみたい。

ところで、日本でのワールドカップは終わってしまったが私が思うにドイツの人々のサッカー熱は日々、大きくなっているよう。ドイツはどんどん勝ってベスト8になった。多くの家の窓から「黒・赤・黄」のあのどぎつい色の国旗が垂れているし、特に学生は夏休みに入って暇なのかみんなで集まっては大騒ぎで見ていて無邪気な姿が羨ましいほど。ついさっきもアルゼンチンがオランダに勝って、ドイツチームでないのにものすごいみんな興奮しているのが窓から見えた。(なんかすごい激しい試合だったらしい)午後は、日本チームがブラジルに負けたあのドルトムントの町に少し寄ってみたら、土砂降り雨だったのにサッカーファンは走りまわっていて楽しそうだった。もう、盛り上がっていてどんなに体が濡れようが関係ないみたい。

サッカーが特別好きなわけでもないのに、観るとなるとなんでこんなにドキドキするのだろう。試合の始まる1時間前からソワソワとして、ポテトチップを広げてみたり、時計を何度も見たり自分でもおかしい。

それにしても、日本対ブラジル戦は残念だった。日本が先制ゴールを挙げたときは本当に奇跡が起こるかもと思ったけど、やっぱり世の中はそんなに甘くなかった。世界の壁は高かった。サッカーに無知な私でも、スピード、テクニックすべてにおいて日本チームはまだ世界のトップにいないということは明らかに見えた。

「そういえば、私はこの試合でボランティアする話があったよね」なんて言っていたら「良かったよ、ボランティアをしなくて。こんなにボロ負けしたから、みんなの慰め係になっていたはず。もしくは反対に慰められていたかもね。」とパパに言われた。本当にそうだったかもしれない。

でも、日本からこんなに遠いドイツのドルトムントにこの試合のため0泊2日で何百人と来ていて、まったくすごいなーと思う。お疲れ様と言いたい。ドイツ人にもこの話をするとみんな目を丸くする。

それにしても、這い上がれる人は、とことん落ちるところまで落ちても、またこれをバネに這い上がれると思う。今回は力の差を知るいい機会だったと思う。これから日本のサッカーがどうなるのか楽しみだ。

                      *

パパの働くシュタイナー学校は今日が終業日。よってこれから私達に長い夏休みが始まる。パパは昨日は、1時間しか寝ていない。38人の生徒ひとりひとりに長い成績表ともいえる1年分のコメントを書き、更に他の学年の100人分の英語と音楽のコメントを書き終えた。これだけと思ったら大間違いで、クラスの38人分のカードを作った。写真を貼リつけて、その子に合った詩をカードに書いた。はっきり言って、全て大仕事。私もカードを切ったり、貼り付けたりと夜中までお手伝いした。

しかし、この一ヶ月かかったこの仕事も今日で終わった。毎回、驚くのはドイツでは学校が終業する日は子どもと保護者は先生に感謝のプレゼントがあるらしい。本日も白いバラの大きな花束と、ガーべラの鉢植えと大きなクラス写真を額縁に入れてみんながサインしたプレゼントを両手に抱えて、パパは家に帰ってきた。別に彼は花をもらって嬉しいタイプではないだろうが、私が嬉しい!

とにかくこの忙しさが終わって嬉しいし、夏休みはたくさんあまちゃんと遊んでくれるというので、こっちもウキウキしている。


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